いきてみた

「来年は無理でしょう。」との余命宣告を受けてから、2年が経ちました。がんと付き合いながらのゆるい日常を描いています。

ドラマとちがう

詳しい結果を聞きに、2週間後に再び大学病院へ。


手術できる状態ではないこと。

放射線と抗がん剤での延命処置を考えていること。


それを、画像を見ながら伝えられました。


担当してくれたのは、前回の検査の時と同じ年若い女医さん。


美人で頭が良さそうな、クールビューティ系。



…それにしても。


病院に滅多に行かず、ドラマでしか大学病院に馴染みがなかったせいか、思い描いていたイメージと大分違いました。


私の頭では、お医者さんが言いにくそうに、重々しい口調でがんを宣告し、落ち込む患者の肩をたたき、「私がついています。一緒に頑張りましょう!」とあたたかい眼差しで見つめてくれるはずだったのに。(←ドラマ見すぎ)


現実は、あまりにアッサリし過ぎていて、正直悲しむタイミングが掴めませんでした。


先生

「◯◯を見てわかる通り、◎◎まで進行しているがんです。」


「はあ。そうですか。」


というお互い薄いリアクションでの会話。


唯一、私が反応してしまったのは、そろそろ診察が終わろうとしている時の女医さんのセリフ。


「これからですが、実は私今月いっぱいでこの病院を辞めるので、あとは引き継いだ先生から聞いてください。」(隠そうとはしているものの明らかに嬉しそうな顔)


思わず「え!?」と、声を上げてしまいました。


リアクションは薄いけど、はじめてのことだらけで、これからどうなるか胸の中は不安でいっぱいなのに、急に放り出されてしまった感覚です。


これからのことを聞こうとすると、「それは新しい先生のお考えがあるので、私からは何とも言えません。」

と、相変わらずのクールな答え。


すっかり捨てられた子犬の気分でした。


お医者さんって、考えてみれば学校卒業して会社に勤めるのと一緒で、ただ就職先に病院を選んだだけなんだよなぁ。


すっかり医療系ドラマの感動的なシーンは頭から消え、寿退社な雰囲気(勝手なイメージ)の女医さんを眺めながら、お医者さんへの幻想から完全に覚めた瞬間でした。